WORKSHOP REPORT

TOMODACHI-Microsoft iLEAP 
Social Innovation and Leadership Program 
YouthSpark Live Workshop

INTRODUCTION

2017年4月9日(日)、日本マイクロソフト本社にて、”TOMODACHI-Microsoft iLEAP 
Social Innovation and Leadership Program 
YouthSpark Live Workshop 
with Hapnik” が開催された。

TOMOCADHI イニシアチブとマイクロソフトの支援を受けiLEAPが主催している日本の将来を創る若き次世代リーダーのためのプログラム “TOMODACHI-Microsoft iLEAP Social Innovation and Leadership”の一環として、卒業生たちの継続したコミュニティの形成を目的に、Hapnik(旧:Make It Creative)が日本マイクロソフト社と行なっ ているワークショップ “YouthSpark Live Workshop” が組み合わさったもので、マイクロソフト社、 TOMODACHIイニシアチブ、iLEAP、Hapnikがパートナーシップを組んで実施している。

TOMODACHI-Microsoft iLEAP Social Innovation and Leadership“は、18歳から25歳までの学生・社会人を対象としたシアトルで行なわれる5週間のプログラムで、2017年春(2・3月)の参加者を含めて128名の卒業生がいる。本ワークショップにはその128名のうちおよそ40名が参加。北は北海道から南は沖縄まで、全国各地から卒業生たちが集まった。

本ワークショップでは、プログラミングがはじめての人にも楽しんでもらうための「ロボット・チャレンジ」、プログラミングやテクノロジーは身近なものであることを感じてもらうための「パネル・ディスカッション」、自分が今後取り組みたい事を共有し、その実現のめにテクノロジーをどのように応用させるのかをチームで考える「プレゼンテーション」という3つのセッションを実施。TOMODACHI-Microsoft iLEAP Social Innovation and Leadershipの卒業生という共通点を持つ参加者たちが、プログラム修了後も助け合っていくためのコミュニティ(プラットフォーム)形成を目指してデザインした。

YouthSpark Live Workshop?

日本マイクロソフト社とHapnik(旧:Make It Creative)が2014年より共催してきたワークショップ。マイクロソフトのグローバルなYouthSpark構想の一環で、すべての若者に対してコンピューター・サイエンスを学ぶ機会を増やし、彼ら自身や家族、そして地域のために、より大きく成功する能力を与えることを目的としたもの。

TOMODACHI Initiative?

TOMODACHIイニシアチブは、東日本大震災後の復興支援から生まれ、教育、文化交流、リーダーシップといったプログラムを通して、日米における次世代のリーダーの育成を目的としている公益財団法人 米日カウンシル-ジャパンと東京の米国大使館が主導する官民パートナーシップです。日米関係の強化に深く関わり、互いの文化や国を理解し、より協調的で繁栄した安全な世界への貢献と、そうした世界での成功に必要な、世界中で通用する技能と国際的な視点を備えた日米の若いリーダーである「TOMODACHI世代」の育成を目指しています。TOMODACHIイニシアチブウェブサイト

iLEAP?

米国シアトルにある、ソーシャルチェンジを促進する国際NPO法人。より良い社会の変化は一人一人の内面の変化とともに生まれるという信念のもと、世界中のソーシャル・リーダーやソーシャルアクションを起こしたいと思っている人に対して、リーダーシップのトレーニング・プログラムを行なっている。

ROBOT CHALLENGE

ブロックベースでプログラミングを学べる専用アプリ、そして球体のロボット「Sphero」を使い、Spheroを火星探索機に見立て、火星探索のミッションを遂行するチーム対抗の「ロボット・チャレンジ」。

テクノロジーが日常の至るところに溢れている現代に、テクノロジーを享受する受け手という立場から大きく一歩、歩みを進め、テクノロジーを理解し、目的遂行のために利用できる立場になることの可能性はこれまでにないほど大きくなっていく一方であり、その歩みを進められる可能性が誰にでもある、ということを、体験を通し、自分にもできる、と、実感してもらうこと。そして、一見、単純なただのゲームと思えるこのチャレンジだが、この延長線上には実際に火星探索機、マーズ・ローバー(Mars rover)があり、プログラミングとテクノロジーを理解し使う側になることの可能性を実感できるよう、デザインされた。

火星探索に模した与えられた探索ミッションはいかようににも解釈ができ、その遂行方法にも存分に余地が残されたもので、そのミッションをいかに解決するかのクリエイティビティ、そして、チーム力、トライ・アンド・エラーを繰り返し目的を達成する力、そして、限られた時間内でどこに注力するかの判断力などが、短い時間の短いチャレンジの中でも、刺激されエクササイズできるようデザインされており、チャレンジを終えた参加者の声にもからも、こういった力が重要であるといったものが多く見受けられた。

また、今回のワークショップでは、互いに助け合えるアラムナイコミュニティの創造と発展も目的のひとつとなっていた。そのため、前回に引き続いてのリピーターが10名ほどいたのだが、彼らには初回参加者がたどるプログラミングの基礎部分をスキップし一足先にチャレンジに着手してもらい、追って基礎部分を終えた初回参加者の10チームに先輩として合流してもらうことで、スキルを持ったメンバーと助け合うことで共に目的を遂行する、という体験の場となるようにデザインした。

PANEL DISCUSSION

ディスカッションの前に、TOMODACHIイニシアチブを代表して橋本彩氏が挨拶を行い、2011年の大震災の際にアメリカ軍と日本軍が行なった「オペレーション・TOMODACHI」がきっかけとなり「TOMODACHIイニシアチブ」が立ち上がったこと、TOMODACHIイニシアチブはこれまでに200以上のプログラムを実施し5600人以上の卒業生がいることにふれながら、「みなさんはひとりではない。5600人、そしてこれからさらに増えていく卒業生たちのコミュニティとみなさんをつなげていきたい」という熱い思いを語った。

本編では、橋本氏とともに、マイクロソフト社よりサルバドール・サンチェス氏、そしてHapnikよりジョセフ・テイム、雨宮澪、アルビン・チャンが登壇して、「テクノロジーは、私たちをどこに連れていくのか?」を中心にそれぞれのテクノロジーにまつわるストーリーを語っていった。

雨宮は自身のアートプロジェクト「耳のないマウス(Earless Mouth/Mouse)」において、プログラミングの知識を活用してアーティストとエンジニアという、それぞれが異なる言語(用語)をもつ人たちをつなぐ役割を担い、テクノロジーの言語を理解することで自身の可能性が格段に広がることを語り、ジョセフは東京マラソンの実況中継やクリスマスツリーの扮装でのランなど、テクノロジーを活用しながら思いついたアイデアを次々に実行しそれがまた次の機会や仕事につながっている経験を共有。アルビンは、東京でスタートアップ「ABCコーヒー・クラブ」というスタート・アップを設立し、テクノロジーを用いて自ら店のオペレーションの効率化を進め、スタッフが楽しく働ける環境を作り出そうとしていることを語った。

橋本氏は自身を「この場で一番テクノロジーにうとい」と形容しながら、テクノロジーといっしょに育ってきた参加者たちに、テクノロジーを最大限に利用することを意識しながら今後活動をしてほしい、とメッセージを贈り、サルバドール氏はテクノロジーを専門に学んだわけではない自身が、博士号を持っている人が数人集まっても解決できなかった課題を仲間の協力とテクノロジーの活用により解決することができた事例を紹介しながら仲間の大切さと自信を持つことの大切さを説いた。

質疑応答では「なぜ僕たちは最新のテクノロジーを使っていかなければいけないのか」「AIに人間とおなじ権利を与える、という議論に対してどう思うか」という質問が投げかけられ、テクノロジーはもはや無視することができないほどに様々な業界で使われていることや、デジタルの視点で考えることがアナログなものに対する多角的な見方につながること、また、テクノロジー(AI)といっしょに生きていく道を探していくことが重要である、といったさまざまな考えが共有された。また、ディスカッションの後にはテクノロジーのトレンドを紹介し、そのなかでサルバドール氏によるホロレンズのデモンストレーションを行なうなど、最先端のテクノロジーを実際に目にする機会も設けた。

PRESENTATION

興味のあるテーマ別にチームに分かれた参加者には、それぞれのテーマに基づき、実現したいこととテクノロジーを使いどのようにお互いを支援することができるのか、という提案を、PowerPointと寸劇を使ってプレゼンテーションしてもらう。

自らの価値観や向き合いたいテーマ、そして5年で創り出したいものに考えを及ばせ、そのためにはどんなヘルプを必要とするのかを個人でブレストし、その後、他参加者のそれに対し自らはどんなヘルプを提供できるか、を、ポストイットにそれぞれ書き出し、会場のカフェテリア全体の壁を使って、すべてを貼り入れたポストイットのギャラリーをつくりあげた。

その後チームでの話し合いのもと、各チーム毎に取り組みたいテーマをひとつに絞りプレゼンテーションに向け各チーム作業を進めていた。

各チームのプレゼンテーション内容は以下のとおり(チーム名、①テーマ/②実現したいこと/③テクノロジー
を利用した実現のための方法)。

ホロレンズを今日帰るまでにつけたい
①教育格差/②学校の力不足の解消/③公立学校でもホロレンズを使って他校の授業(最先端の教育)が受けられるようにする。スマートウォッチやスマートグラスで計測した生徒の集中度を教員の評価基準にする。

貧困チームTO BE RICH
①貧困/②子供の選択肢の狭さを学生限定のコミュニティスペースをつくることで補う/③登録者の顔認識や監視カメラでセキュリティを確保する。SNSでの認知度を上げる。

マーロン・メイト
①地方創生/②都会に頼るのではなく、まずは自分の住む地域への理解を深める/③コミュニティを限定したローカルSNSでディープラーニングする。AIを用いて同じ悩みを持つ県と県をつないで情報交換を促進する。

Team Around 6
①キャリア教育/②ひとりひとりがやりたいことができる社会の実現/③VRで世界のさまざまなことを知ったり、いろいろな経験をしてきた人にAIを通して会ってみることで「自分」と「他人」の両方を知る。

インフィニティ
①難民/②難民のサポートシステムを作る/③シェルターで自分のアカウントを作成し、スカイプなどを使いホストファミリーとのマッチングを行なう。ブログなどで難民との生活を発信することで、難民に対する正しい知識を持ってもらう。

ハングリー
①教育格差/②専門学生と大学生をつなぐ/③「メンターマッチングアプリ」をつくる。大学でプログラミングを学ぶ学生と調理師専門学生をつなぐことで、調理にプログラミングを取り入れるなどのコラボレーションを生み出す。

チーム・ダイバーシティ
①ダイバーシティ/②さまざまな悩みを抱えた人たちをつなぎたい/③AIを使った相談システムをつくり。悩みにあわせてAIがアドバイスしたり、相談者同士のマッチングを行って、ホログラムやVRを使って間接的なコミュニケーションしたりする。

島流し
①地方創生/②住みやすい町をつくる/③「いなかAI」を作る。行政に対しては、問題点などをオープンソース化してAIがシェアする。個人に対しては、自分にもっとも合う町などもオープンソース化してAIがマッチングする。

The Stripers
①女性の活躍/②「分業」を「協力」にしたい/③「VR仮想家族ゲーム」で、男女の役割分業により他人事になりがちな子育てを体験することで”自分事”にする。SNSで子育てや就労の情報を集める。

REFLECTION

「ロボット・チャレンジ」「パネル・ディスカッション」「プレゼンテーション」というすべてのセッションを終えた参加者たちに、一日の締めくくりとして課したテーマは「今日いっしょに活動したチームのメンバーだけでなく、より大きなグループでどのように互いに協力し、助け合うことができるかを考えてほしい」ということ。たくさんのポストイットにつづられた一日の軌跡や寸劇の余韻を総動員しながら、TOMODACHI-Microsoft iLEAP Social Innovation and Leadership”、そしてTOMODACHIイニシアチブによりできたこのコミュニティを、これから1カ月、5年、10年後と、どのようにつなげていくかを考え、全体で共有した。

以下はその際に共有された意見の一部。

“助けること”と”助けられること”を考えることができた。自分から助けを求めることも大事だと思った。多様性のあるメンバーだったからこそ、さまざまな助けが出てきたと思うし、そういうメンバーと iLEAPを通してつながることができたので、引き続き助け合える関係性を続けられたらと思う。

おそれずに、これからもテクノロジーに触れていきたいと感じた。

今日一日を通してみんながイキイキとしているのが印象的だった。

縦のつながりで集まれる機会は年に数回程度。でもせっかく集まっているのだら、提供いただいている場所を積極的に活用してどんどん意見や考えを共有していきたい。

自分はバイオテクノロジーを専攻していて解析する側の人間。今回テクノロジーを使ってみて、人間の本質を知らなければテクノロジーを作ることはできないと知った。

今日ように、テクノロジーをどうやって活用していきたいかと積極的に考える場が与えられていることもTOMODACHIプログラムの強みだと思う。

ワークショップでテクノロジーを駆使したことが楽しく、また、恐怖を感じているなど、みんながテクノロジーをどのように考えているかがわかっておもしろかった。

ワークショップで学んだことは自分が日常所属しているコミュニティにも活かすことができると思う。

一期生(2014年修了生)で今回のワークショップに参加したメンバーは2人。めぐりあわせを大事にしながら、自分が来たいなと思ったタイミングに来ることができればいいと思う。

帰国して1ヶ月が経つが、自分はこれからどうするか考えられていなかった。でもここで具体化することができたし、あまり年が変わらないのにたくましい先輩たちの姿を見てがんばろうと思った。

時間を過ぎても意見が出続けたり、いい場だなと思う。活発化しようなどさまざまな意見があるが、そういったことを言い合える場所があること自体がいいと思う。

はじめてのプログラミングで「いちを重ねる大切さ」を学び、みんなが振り返りで書いたポストイットのメモを見て同じように感じている人がいることもわかった。

文系の人にもプログラミングは簡単だということを知ってほしかったし、もしアイデアがあればその実現に自分も手を貸すことができるからどんどんシェアしてほしい。

自分が積極的に関わっていくことで、物事は他人事にならないのだと感じた僕たちはお互いに学び合えるラーニングパートナー。でも、疎遠になっているのも現状でもっとつながりを持ちたい。

午前10時からはじまったワークショップは気付けば終了予定時刻の午後7時を大幅に過ぎていたが、それでも活発な意見交換はやまない。これほど「変革を起こしたい」という強い意思と能力を持った参加者たちが、コミュニティを最大限に活用して創り出す未来の姿に、ワクワクせずにはいられない。マイクロソフト社、TOMODACHIイニシアチブ、iLEAP、Hapnikの4団体は力を合わせて、これからも彼らを力強く支援していく。